扉をアユミが開けると、見慣れたクラスメイトが立っていた。

「マコト、先生からプリント…ってあれ?」

クラスメイトは、プリントを差し出そうとして、驚いた表情だった。扉は引くタイプで、扉を開け続けることはできない。
手を離すとしまってしまうのだ。
だがマコトはベットの隣に立っていて、クラスメイトには扉が勝手に開いたように思った、いや、勝手にあいたように見えたのだ。

「あれ?どうなってんだ?扉あけたのマコトだよな?」
「え、あ、うん」
「でもお前そこにいるのに開いてる・・・あれ?」

クラスメイトはプリントをマコトに渡してそそくさと帰っていった。マコトは静かに扉を閉じる。

「これで、信じてもらえますか?」
アユミが静かな声で告げた。マコトは何もいわなかった。
言わなくてもわかる、アユミが見えているのは自分だけというのは事実だ。

「…どうして、僕を?」
「神のお告げです。私は守の使いだと、告げたはずですよ?」
「だから、どうしてその神様がなんで!」

マコトがそういうと、アユミは微かに笑った。

「聞こえなかったのなら、もう一度言います。「貴方には特殊な遺伝子が誤って混合してしまった」のです。」
「どうして、そんなことわかるの」
「遺伝子は二つの世界を見守る神様になるべき人間に受け継がれます。ですがどういうわけか神様の子供ではなく貴方に受け継がれたようです」
「……なんで?」

マコトがそう問うと、アユミは真面目な顔になり、答えた。

「そんなこと、わかりませんよ。」
「は?」
マコトの素っ頓狂な声を

「神様にもわからない事があるということです」

アユミは一蹴すると、消えた。消えた場所を、マコトは唖然として、見つめていた。

そして、
とんでもない場所からその二人の会話を聞いている人物がいることなど、
マコトは知りもしなかったのである。