スカイと呼ばれた少年は、珍しい銀の髪と銀色の瞳をしている。
彼がマコトのクラスに転校してきて早一ヶ月。その髪と瞳の色の珍しさと、転校生という事実が興味心を擽ってか、一時は彼の周りに人だまりができたこともあるが、彼はその瞳の放つ色と同様に、氷のように冷たい、トゲトゲした言葉を放つため、今となっては先生からも嫌煙されている。
だが、本人は何も語らないし、冷たい態度がいいと言う女子もいるらしい。

「いるったら、いるもの!」
「いる訳ないだろ。居たら俺は対面してみたいね。この世界を創り出した神とやらに」

ん?とマコトは疑問を感じた。今の言葉、まるでスカイは神を…

「いるんだってば!私たちの前には現れないけど…居るんだってば!!」
「…言うだけなら、誰にでも言えるだろうな」

そう一蹴して、スカイは白い鞄を肩に掛けて、教室を出た。その教室を出た方向の扉を、マコトは何時までも見ていた。

「もー、スカイってさ、なんでいっつもああなんだろうね?」
「え、あ、うん」
ナナに話を振られて、マコトは慌ててナナの方向に視線を戻す。

「もうちょっとやわらかくなれっての!」
「まぁまぁ」
「マコトもマコトだよ!」
「は?」
「アソコでマコトも「神様は居るよ!」て言わなきゃ!タダでさえツイてないのに!」
「…つ、ツイてないのは関係ないだろっ!」

そんな会話を見ていたほかのクラスメイトがマコトに嫉妬するのは、いつもの事である。

だが、この時、マコトは、知らなかった。知る由もなかった。
この時、運命の歯車が動き出したことを。