――声が、
声が聞こえる。
ともすれば、消えてしまいそうな、生まれたての雛のようにとても小さく、かすかな声。耳を澄まして聞いているはずなのに、その声は、何を紡いでいるのかわからなかった。
「…ト」
違う、声が聞こえた。
先ほどまで聞こえていた声よりハッキリした、どこか記憶にある―――
「マコト!」
その大きな声で、マコトは目を覚ました。辺りを見渡すと、先ほどまでたゆたうように浮かんでいた場所――夢――とはまったく違う、建物の中。机の上。
「あれ…?」
記憶を探る。眠ってしまったのか。それが一つ脳裏をかすめた。
だが教壇で、何時も長い文章を喋り続けている、教諭は今はいなかった。
「マコト、珍しいね」
先ほどから聞こえていた声の主の方を向く。
目の前にいたのは、見慣れたクラスメイトの女の子の顔。
「マコトが授業中に寝ちゃうなんて、初めて見たよ」
「…僕だって初めて寝たよ」
そんな言葉を返すと、彼女は笑った。
年頃の男子なら、いや、このクラスの殆どの男子ならこの笑顔にズキュンとくるのだろうが、あいにくその少女――ナナとは幼いころから一緒だ。そんな感情はマコトは皆無だ。
「まぁ、先生に見つからなかっただけ、運がいいよね。」
「まぁ…そうかもしれない。」
「いつも運が悪いのに、こういうとこだけは運いいんだよね。神様も卑劣だよ」
ナナはそんな事をつぶやいた。と、その声に、マコトではない声が返ってきた。
「神様なんているわけないだろ、馬鹿か、お前?」
「な・・・ッ」
ナナは視線を声の主へと向ける。
冷ややかな視線が、マコトとナナに向けられていた。その銀の瞳は、ずっと見られると凍り付いてしまいそうなほど冷たくて。
「スカイ、何でそんな事」
「神様なんて、子供を騙す為に大人が考えた幻想の信仰対象だ。」
「そんな事…っ!」
「そんな事、ない、と?」
声が聞こえる。
ともすれば、消えてしまいそうな、生まれたての雛のようにとても小さく、かすかな声。耳を澄まして聞いているはずなのに、その声は、何を紡いでいるのかわからなかった。
「…ト」
違う、声が聞こえた。
先ほどまで聞こえていた声よりハッキリした、どこか記憶にある―――
「マコト!」
その大きな声で、マコトは目を覚ました。辺りを見渡すと、先ほどまでたゆたうように浮かんでいた場所――夢――とはまったく違う、建物の中。机の上。
「あれ…?」
記憶を探る。眠ってしまったのか。それが一つ脳裏をかすめた。
だが教壇で、何時も長い文章を喋り続けている、教諭は今はいなかった。
「マコト、珍しいね」
先ほどから聞こえていた声の主の方を向く。
目の前にいたのは、見慣れたクラスメイトの女の子の顔。
「マコトが授業中に寝ちゃうなんて、初めて見たよ」
「…僕だって初めて寝たよ」
そんな言葉を返すと、彼女は笑った。
年頃の男子なら、いや、このクラスの殆どの男子ならこの笑顔にズキュンとくるのだろうが、あいにくその少女――ナナとは幼いころから一緒だ。そんな感情はマコトは皆無だ。
「まぁ、先生に見つからなかっただけ、運がいいよね。」
「まぁ…そうかもしれない。」
「いつも運が悪いのに、こういうとこだけは運いいんだよね。神様も卑劣だよ」
ナナはそんな事をつぶやいた。と、その声に、マコトではない声が返ってきた。
「神様なんているわけないだろ、馬鹿か、お前?」
「な・・・ッ」
ナナは視線を声の主へと向ける。
冷ややかな視線が、マコトとナナに向けられていた。その銀の瞳は、ずっと見られると凍り付いてしまいそうなほど冷たくて。
「スカイ、何でそんな事」
「神様なんて、子供を騙す為に大人が考えた幻想の信仰対象だ。」
「そんな事…っ!」
「そんな事、ない、と?」