「スカイを連れてきたよ」
「んー、了解!」

マッキーが返事する。
「あれ?キノは?」
「キノ?…キノは…」

マッキーが目線を逸らしながら、答える。

「それがさぁ、さっき図書委員が…期限が…それでアレが飛んで…」

と、次の瞬間だった。後ろのドアが恐ろしい音を立てて開いて、閉じた。それに驚いて三人は振り返る。
後ろにいたのはどこかで見たような図書委員が泣きながら山のような資料を
脇の机に置いて、泣く泣く帰っていった。

「…………」
長い沈黙を破って、マッキーが口を開いた。

「…まぁ、そ、そういうことで…、キノは急用で、居ません」
「…りょ、了解」
「………」
「で、そっちのがスカイか?」
「え、あ、うん」
「へぇ、話には聞いてたけど、本当に…」

と、そこまで喋ってマッキーは口を閉じた。
その理由は、マコトにも何となくわかった。

「…ま、とりあえず自己紹介だな、俺はマッキー、普通にマッキーって呼んでくれたらいいから」
「…本名は?」
「……秘密だ」
「………」
スカイは冷たい視線をマッキーに投げかけたが、マッキーは鮮やかにスルーする。
さすが、スカイより強力な視線をいつも浴びてるだけのことはあるなぁ、とマコトは思った。
と、その時、噂はしてないが、強力な視線の持ち主が帰ってきた。

「あ、キノ。おかえりー。てか、お疲れさん」
「……」

キノは無言で机の椅子についた。そして、無言でスカイに目をやる。

「あ、スカイはこっちだからな」
「そんなものは見ればわかる」
「ですよねー…」

マコトはチラリとスカイの方を見やる。
スカイの顔に動揺の色はない。
もしかしたら一ヶ月の間にあったことがあるのかもしれない。
一ヶ月たっているのだから十分あり得る。
と、スカイが口を開いた。