『はい、なので、防衛都市侵攻時には必ず、はい、ワイアームは地上へ姿を現します、はい』

寺島のさらに左にいる、長髪の男が言葉を継いだ。男にしては異常なくらい肌の白い楠本である。「はい」とやたら言うのが癖だった。

「そこを私がぶっ叩け、ってわけだね」

『はい。防衛都市外周には現在、自衛隊が防衛線を展開中ですので、はい。集中砲火による目標撃破となります、はい』

「OK了解任せてちょーだい」

オペレーターは楠本の横にもうひとり、短髪にメガネ、鋭い目つきをした赤沢がいるが――彼は無口なのでなにも言わなかった。

もとより、彼はオペレーターの中でも全体とのやり取りをしているので、忙しい。今もすでに、作戦展開中の自衛隊と歯車が秒を刻むような早さで通信を行っていた。

もっとも――赤沢とは初対面時、名前が同じ『赤』ということで親しく接してみたら、嫌われたといういきさつもある。

気には、しない。それが自分だと思っているし、どのみちすでに、三人から得た情報で充分だった。

簡単に整理して、呟く。

「今度もぶっ殺せばいいのよ。私らしく、真っ正面からねん」

そう――これ以上ない、とても、簡単な話だった。