『木佐木少尉。B型装備は機体に様々な火器銃器を取りつけますので、先日のケンタウロス戦のように、高速での移動は困難になります。また、重火器が装備されるため、ランサーモードの起動も難しくなります』

レンはうんうん頷いた。

『それから、高エネルギー長距離主砲は、一度撃つと砲身の冷却、エネルギー再貯蓄の関係などから、180秒間使用不可能となります。気をつけてください』

「了解。ほかには?」

『作戦についてですが』

と、今度は間宮の横にいる、クマのような男・寺島が言う。

『敵は地中を移動しているため、なかなか姿を現しません。幸い、防衛都市の外壁は地下にもあり、それぞれがマトリオーシカ状に層をなしているため、ワイアームが身動きの取りづらい地中より先攻してくることはないかと思われます』

地中を移動できるというのと、地中のほうが自由に動けるというのは、同意語ではない。

「つまり、防衛線は結局今回も地上ってわけね、クマちゃん」

緊迫感のない呼び方のせいか、管制室の人間が、なにより寺島が苦い顔をした。

ああ、こういう口を聞いているから自分は少尉なんだなと痛感するレンである。気には、しないが。