周囲のモニターが点灯し、コックピットが宙に浮くような景色が出来上がる。

「搭乗者名、木佐木・レン・クリムゾン。トレーシングシステム接続開始」

『Yes sir』

続けての音声操作に応え、まるで餌を求めてさえいるような動きで大量のコードがコックピットシートから溢れ出す。

カシャンとスライドして現れた注射器のような鋭いプラグが、

「ぅっ! ぅぅ……ぃ、く……ふ……っ」

ジャクン、シャクンとも音をあげ、次々とレンの首筋、背中、腕や足へ突き刺さっていく。

目を見開き、歯を食い縛るのも、数秒のこと。鋭い、体中を走る電撃的な痛みも、自分の肉体を実感する手段だと思っている。

レンは、パネルに表示されているトレースパーセンテージを見て、ほくそ笑む。今日は95パーセントだった。

ギルディウスはその性質上、トレースパーセンテージが100に達してはならない。なぜなら、100という数字はすなわち、ギルディウスとの同化を意味するのである。

いかに99パーセントへ近づけるか、というのが、パイロット適正のひとつとも言えた。

「あと4パーセント、か……。同化じゃなく同調っていうのが、難しいとこなんよねん」