弐号機のパイロットはもうすぐ配属されるだろうと、東海林中佐から聞いていた。支倉にも訊いてみたところ、弐号機パイロットは女であるらしい。

そう、女。

こないだ拾った男――矢ヶ崎真人ではない。

自分の独断で連れてきた真人は、当然のように拘束された。今は、666の下層部にある独房に入れられている。

矢ヶ崎真人にしてみれば、おかしな話だろう。来るように誘われたかと思えば、拘束され、監禁されているのだから。

我ながら失敗した。そこで一応、自分からも言ってはみた。矢ヶ崎真人はギルディウス・マキナのパイロットを志願していると。彼はおもしろい人間だと思う、と。

だが、軍属でもなければ、特殊な訓練を積んだ人間でもない。自分のように、ギルディウスとの接点もない。そんな民間人を666が、はいそうですかと起用するはずもない。

そんなこと最初からわかってはいた。自分の権限はせいぜい、少尉という階級にギルディウスのパイロットという毛が生えたようなもの。

だが、あんまりにも規則規則したみなの対応を見た時には、少しげんなりした。おもしろくなかった。東海林中佐に説教されたことには、もっとげんなりした。もっとおもしろくなかった。