「ここを通りかかってみりゃあ、泣き声が聞こえ、それがてめえだ。黙らせるほかになにがあんだよ」

「なっ!」

「負けたからってめそめそと・・・」

その言葉に月もムッときて言い返した。

「違う!負けたからじゃない!・・・なんにも・・・なんにも出来ない自分が・・・悔しくてっ」


気持ちがあふれ、落ちてくる涙をグッと唇を噛みしめ堪えた。

烈火は布団の方へと近寄ると、またがりグンッ!と自分の顔の方へ引き寄せ

「何にも出来ねえだ?ふざけんなっ!!てめえはまだなんもしてねえーだろーが!!!」

雷のように荒々しく叫んだ。


「城の大事な賭け事に、中途半端な奴が、勝つ気もねえのに勝負なんてするんじゃねえ」

「勝つ気はあった!」

反発を続ける月に烈火は大きくため息をついた。

「お前は軍事が好きなんだよな?なら王法の一つ・・・王たるもの信道に」

顔を烈火の方へと向けると、頭の中から引きだされる王法が口からもれた。

「・・・迷うことなかれ」

「本当に勝ちたいと思ってる奴は、途中で“負け”を悟らず、勝つ信念を折らねえ奴だ。」

(―――っ!!)