蘭の手を千代が優しく握った。


「月。この戦国時代のなかで、和泉と同盟を組むということは、大いに民の幸せの為にも欠かせないし、この城を守るわ。父上がもしもの事があっても、城は崩れない。それは月もわかってるはず。」


時差を置き、コクンと頷いた。


「今まで城の為に頑張ったわ、ありがとう。城は離すことになるけれど、これから私たち姉妹がどうなったとしても、私たちはいつまでも一緒だからね」


その言葉に詰まった思いは涙えと変わった。
それはもう、負け戦と同じだからだ。
城を離すということは、すなわち和泉軍に加わること。

王の命令とあれば、女は同盟の道具として使われるのが一般的だ。
いつ姉妹が離れ離れになってしまうのか。
そんなことを頭の中によぎる。

「ゆっくり休んで」

その言葉を後にし、蘭と千代は部屋を後にした。


暖かい涙が止まらない。


このまま和泉に城を取られるのか―――?
そんなの嫌だ!でも・・・どうしたらいいの?

布団にうずくまると、バン!!と勢いよく扉が開いた。

「何を泣いていやがんだ・・・」

聞き覚えのない声に顔を上げると、そこには烈火が立っていた。

「烈火・・・?なんでここに」

「“なんで”?」

そう聞き直すと苦笑しながらずかずかと入ってくる。