咲眞の話では、爆弾は以前黒川邸に捕らえられた時こっそり設置していたらしい。

曰く、
「僕いつもいくつか持ってるんだよね」


拜早にしてみればそんな日常常時爆弾常備な人間を友達にしていて良いのか疑った一言であったが。


しかし結局のところ拜早も咲眞もあの時黒川邸で自由に動けた時間は限りなく少なく、ほぼ身柄を拘束された状態でいた為、残念ながらその爆弾は利用されないまま二人は黒川邸を去る事になる。

咲眞が現時点で城から爆弾起動の操作をしていた事から、黒川の家の者にも未だ設置の存在を知られていないのだろう。
















「…で?上手く解除出来たんだな?」

「だからこうやってここに居るんだよ、僕達」


咲眞の返答に、若干冷や汗もので話を聞いていた管原は気を抜いた様に事務椅子に沈み込んだ。


「ォマエさぁほんとやる事怖ぇーよ…まじ黒川邸爆破してたら」

外との体裁が、と言いかけて管原は口をつぐんだ。

黒川はスラムに居ながら外界とも接触をしている大物だが、あまりそれを口外するものでもない。

言葉の続きを管原は溜め息でごまかし、もう一度二人を見た。

「てかな拜早、ちょっと出て行ったと思ったら正気の咲眞連れて帰って来るんだもんなー、俺様もびっくりよ」


相変わらず無駄に生活感がある管原の診療所。

アポ無しに現れた彼らを見て、流石の管原もその時ばかりは目を丸くし言葉も出なかった。



「あー…時に咲眞クン、君そのぅ、茉梨亜の時の事は覚えてるの?」

「覚えてるよ」

微妙な思いで尋ねた管原の問いを、咲眞はニッコリと返す。

「管原さんにキスされた事とか」
「は?!!」
横に居た拜早は勢いよく管原と咲眞を見る。

「あと拜早に抱きしめられた事とか」
「わぁぁあああ!!!!」
「ぉいおいまじかよー拜早も隅に置けねぇな!」
「アンタもな!!!」