「ナンバー443フェレッド、関根拜早……来なさい」



その言葉がどういう意味なのか……


「ちょ、ちょっと」

分からないままも茉梨亜は塔藤と拜早の間に立つ。


「何の話!?拜早がナンバーって意味分かんないんだけど!」


「茉梨亜……」


「色々あったってこういう事?二人共、もしかして研究所で何かされたの!?」


無性に焦りが出てきて、茉梨亜は早口なっていた。

二人はこの塔藤という男を知っているらしいが、茉梨亜は腑に落ちない。

「(この人、なんか怖い……)」

初対面にそう感じた。


睨む様に見上げると、塔藤はすぐ口を開く。

「何かされた、とは随分だね。……ともあれ君が意見出来る場ではないよ」


塔藤が背後へ目配せすると、ジャンパーの男達が前へ出た。


「…拜早をどうする気?」

静かな声色で咲眞が問う。
茉梨亜とは対象的に咲眞はその場を動いてはいない。


「拜早君は被験者だからね。これからも研究の手伝いをして貰う」

「手伝い?一体どんな…!」

茉梨亜がきつく言っても塔藤の態度は変わらない。

「それは一般人には言えないな」

「拜早だって一般人でしょう!?」

「言い方を変えようか。拜早君は既に協力者だ。最後まで俺達に協力する義務がある」

「なっ……」


「…塔藤さん、僕達は研究所に協力なんてした覚えなんてないんだけど」

塔藤を見据えた咲眞のその目も、あまり冷静ではなかった。

「そっちが勝手に、僕達を黒川さんの所から買い取ったんでしょ?」


「覚えはない、と……ふむ。君達は記憶の欠如があるね。それもデータになるな」


小さく笑いながら淡々と発言する塔藤に、茉梨亜はついカッとなる。


「なんなのあなた!協力してないって言ってるんだから、無理に連れて行くなんておかしいわよ!」

「無理に、ねぇ…?」

塔藤は薄く笑みを浮かべて拜早を見る。
拜早は微かに眉間に皺を寄せていた。