「……何、今の音」
広いベッドの上に腰掛け一休みしていた咲眞の耳に、小さなガラス音が聞こえた。
気のせいか、とも思いベッドから腰を上げる。
ベッドの上で眠る、二人の少女達。
「全く……僕が何すると思ったんだか」
言って、笑う。
咲眞が持っていたのは睡眠薬を含ませた布。少女らに言ったのは冗談だ。
いくら咲眞でも手癖が悪いわけではない。
「いくら咲眞でもってどういう意味……」
眠った少女らを頑張ってベッドへ運び、適当に引っ張ってきた毛布とシーツを掛けてやった。
これで冷える事もないだろう、我ながら優しい…
などと思っていたら、あの微かなガラスの音。
少し気になる。
「……拜早、大丈夫かな」
いい加減行動しなければ、とベッドから離れ扉のノブに手を掛けようとした時、
「え?」
咲眞がノブに触れる前に勝手に扉が開かれた。
「おっ…」
(精鋭…!!)
現れたのは黒服の精鋭。
少女らの“次”のお相手か…
しかし今少女らは奥で寝ている為、黒服の目線はどうしたって咲眞に集まる。
「あ!今日入った新人??かわいーじゃん」
男は二人。
後退りした咲眞を舐める様に見やって、後ろ手に扉を閉めた。
「君、なんでそんな服着てんの?」
「!」
一人が咲眞の両肩を掴んだので、思わずびくりとなってしまう。
「なぁ3Pでいぃよな、脱がせよ」
「あぁ」
とりあえずなんでもやれるなら…という意気込みで目の前の男は咲眞の衣服に手を掛けた。
「それにしても新入り、レベル高いねー」
「こりゃ見てるだけで勃ちそうだな」
「…あ、の……一つ、いいですか?」
咲眞は自分の服を脱がそうとする男達の腕に軽く手を添えながら、目だけで彼らを見上げる。
「蓋尻さん…って、何処に居るか分かります?」
「あん? そんなのどーだっていいじゃん」
「後で教えてやるよ」
――あぁ、これは答えてくれないだろうな と咲眞は察する。
「…じゃあもう一つ……」
少し笑って咲眞は男達を見る。
「お兄さん達、オトコでもイケるクチ?」