トウキョー民間保護地区…通称スラムは高い鉄の壁に覆われており、一般人は外の景色を見る事が出来ない。

スラムの住人は二種類いて、一つはスラムの外…外界から来た人物。
殆どがスラム中心に位置する研究所の所属や事務員達だ。
もう一つは身寄りのない幼い頃国の機関によって収納された、または家を持たない自給生活を強いられていた者達である。

今の外界は親を持たない子供を育てる余裕はなく、生活の出来ない者達に各々保証金を払える予算もない状況に陥っていた。

何故なら…
ここでその話を掘り下げても意味はないが…
ニホンは土地を求めたのだ。
各場所に散らばる彼らを保護地区（トウキョーの他に関西と九州にある）と言う名の一カ所に集め、ニホンの隅々に“緑”を植えた。

全ての人の生活を確保するより、世界的にも“緑”を増やす事に力を尽くさねばならなかった。
でなければ人が存在していく事そのものが危うかった。


そしてスラムは出来上がる。
そこにいる彼らに秩序を諭している暇はなかった。
更には研究所を置き、結果的に内密にスラムの人間と関与し実験結果を生む始末。

スラムの中の出来事は誰も咎めず、ただ己が日々平和で楽しく生きられればよい……

だからこそ無秩序が生まれた。



黒川大介。

彼はその代表とも言える。

生活に困っていたわけでもない彼は若いうちに自らスラムに入る。（現在は財産を持たないと確認されなければ入る事は出来ない）

黒川は野心を持っていた。

スラムを内側からひそかに統括し、元々あったコネで裏から外界とも繋がり、自身の思うままに好きな事をしていこうと…

黒川の誘いに目の色を変えたスラムの住人がいたからこそ、今黒川は巨大な裏権力を持っている。
黒川が出す条件は甘い汁の様なもの。
どうしたって雇われたがる人物は出てくるし、それは黒川を慕う要素にも繋がる。
黒川は口が上手い。

他に、黒川の趣味か気まぐれかで黒川邸に拾われた者達も居る。
彼もまた、忠誠を誓っているくらい黒川に忠実だ。