・・・・・・。


なんで美紅が男と帰ってるんだ?


あいつたしか野球部2年の裕也とかいうめっちゃモテてるやつだろ。


・・・くそっ。なんで美紅の隣にいるのが俺じゃねぇんだよ。


ほんとは俺だって今すぐにでも美紅のとこに行ってあの裕也ってやつぶっ飛ばしてやりてぇんだ。


だけど俺にはそんなことできねぇ・・・。


我慢しなくちゃいけねーんだ。


【兄弟】だから・・・。


「おい。智!美紅ちゃんほんとに男と帰ってるぞ!!」


慎吾が言葉にしなくてもわかってるよ。

でも【兄】の俺はこういわなくっちゃいけない。
こういって冗談言って喜ばなくっちゃ。


《 そうだな。
 やっぱ美紅付き合ってたんだな。
 ってかさあんなイケメン、美紅にはもったいねぇよな!! 》


言えよ。
・・・。言えよ智!
俺が言わなくちゃ。兄なんだから。


『そうだな。
 やっぱ美紅付き合ってたんだな。
 ってかさ、あんなイケメン、美紅にはもったいねぇよな!!』

何か言ってくれよ慎吾。
早く。はやく。


「お前。それ。
 本気でいってんのか?」