「あ、はい!お待ちしてましたー」






ママが玄関でそう言っていたけど、あたしは1人部屋に逃げ帰った。






――冗談じゃない。






・・・その思いが、あたしの頭から離れてくれなかった。






雑誌を適当に読んで、時間を潰していた。






――しばらく経つと。






・・・コンコン・・・






不意に、ドアがノックされる。






「・・・はい?」






あたしは、適当に返事をして・・・ドアに向かって「どーぞ」と言った。






・・・そう、あたしはこのときすっかり忘れていた。






今、家には誰が来ているのかを。