「出たよ、
リサの『彼氏とどう』」

「いいじゃない、あたしにはいませんから彼氏」

彼女はあたしの事はリサって呼ぶ、
織砂と書いて「おりさ」なんだけどね、

「まあ、普通?特別何もないって、
逆にリサみたいに髪の毛とか巻いてさ、
ワンピとか似合う女の子になんで彼氏いないかね?」

「…ふたりして美男美女でさあ、
汐永くんも幸せモンだよねー」

月がうっすら映る黒い海の遠くぼんやり見ながら、
あたしは何かに苛立ってた、


恋人がいないから?

汐永くんが羨ましいから?


違う、


そうじゃない、


「…ねえ、」


あたしこんなに考え込む性格じゃないよ、


「なんで、」


言わなきゃ良かった、


「なんで、汐永くんは…」


「なに?」

なんか、わかんないけど、苦しい、



「なんで…男の子じゃないの?」


あたしの目の先には驚いてる汐永くんが見えて、
冷たい風がふたりの間を当たり前に吹き抜ける、

なんでこんな時にタイミング良く風が吹くの、


この瞬間、
あたしの頭でもこう思えた、

きっと、あたしと汐永くんの友達という関係は、


壊れる。