しばらくして悠翔さんが車に戻ってきた。
「悠翔さん、大丈夫だった?」
「うん。大丈夫」
悠翔さんがニコッと微笑んだ。
「神谷先生に何て言ったの?」
「ん?ここの経営者と知り合いで、君のことを話してもいいんだよ?人の妻に手を出したってねって言ってやった」
「そしたら?」
「そしたら、すいませんって謝った」
「ここの経営者と知り合いなの?」
「いや」
えっ?
違うの?
「嘘も方便って言うだろ?」
「そうだね」
私は笑いながらそう言った。
「雪?」
「ん?」
「卒検、合格おめでとう」
悠翔さんはそう言って頭を撫でてくれた。
「合格ってよくわかったね」
「わかるよ」
悠翔さんはクスッと笑った。
「でも次は学科が待ってるけどね」
「大丈夫だよ」
「ありがとう」
「昼飯でも食って帰るか」
「うん」
悠翔さんは車を駐車場からゆっくり出した。