私はそそくさと厨房を抜け、さっさと城の中に入ろうとしたが、みづきがついてこない。

「美味しそうだね~。おっちゃん、ちょこっと食べてもいい??」

なぜわざわざ面倒を起こそうとするのか。いいから、とみづきの手を引っ張るも、心は料理に魅了されている。

「あん?ダメダメ。それは兵士達のぶんだからな。そろそろ試合が始まるみたいだからスタミナ付けてもらわにゃ。」

「えっ?!王様が目を覚まさないのに?」

確か王はゲームにおいて重要な存在ではなかっただろうか。

「いやー、よく知らねぇけど、たぶん王様を起こす方法が見つかったんじゃねぇか?」

「おっちゃん、美味いよ。」

「って、お前!食うなっつってんだろ!」

なんか重要なことを言ってくれてたのにバッキリと話の腰を折られた。さらに運の悪いことに、騒がしいのを不信に思った兵士が数人、厨房に入ってきた。

「あっ!女王が探してる女じゃないか!さっき3階にいたのに、いつの間に下に来てたんだ!」

そうみづきに向かって叫んでいるが、おそらくうみとみづきを間違えているのだろう。
すると…うみは3階あたりにいることになる。