被告席…?なんで私がここに?!
そう慌てふためいていると、間髪いれずに女王が裁判を始めた。

「そこの女人、お前をタルト窃盗容疑で裁判にかける。」

あまりの展開に、状況の判断に少し時間がかかった。

「え?あの、先ほど窃盗容疑者の有罪判決が出たんじゃ…?」

「別に容疑者は何人出してもいいじゃない。罪人かそうでないかは私が判断するわ。」

これはまずい。盗んできたのは誰であれ、タルトを食べてしまったのは紛れもなく私だ。
疑われる要素を出したら負けてしまう気がする。

「では証人、こちらへ。」

証人?!誰かに見られていたのか。
呼ばれた証人がゆっくりとこちらへ歩み寄る。その頭には大きなシルクハット。そう、パーティーの主催者、道間ハヤトだった。

「ご機嫌麗しく存じます、女王陛下。」

「あなたはこの女人のことを知っていますね?」

冷たい表情を見せる女王に対し、冷静な表情を崩さないハヤト。

「はい…会ったことがあります。確か…答えのないなぞなぞを出したり、一口も飲んでないスープにけちをつけたりと、情緒不安定な部分が見受けられます。」