こんな隠れる場所もないようなところで一人にしてほしくはなかったが、仕方なく赤の城へと歩いていった。


だいぶ城に近いづいて来た頃だろうか、前から何かを抱えて、こちらへちょろちょろと走ってくる男の子の姿が見えた。
その胸には赤いマーク。とりあえず味方というところだろうか。
まぁ、敵だとしても、周りは草原しかないため、逃げ切れる自信はない。
男の子は私の前までくるとピタッと止まり、持っていた箱を差し出した。

「あげる。」

予想外の行動につい箱を手に取ると、男の子はそのままきびすを返して赤の城へと走り去ってしまった。

これは…?

ここまでの道中のことを考えると、中身が非常に恐ろしい。
しかし、このまま中身を知らずに城まで持って行って面倒に巻き込まれるのも嫌なので、箱の中身を確かめてみた。
なんと、箱の中身はタルトだった。漂う良い香りに思わず唾を飲んだ。

「くれた…ってことは、私の物でいいのよね。」