無理なお願いをしているのは百も承知だが、今頼りになるのは彼だけなので、ここは頑張ってもらうしかない。

「うーん、クッキー食べたらでっかくなったんなら…紅茶でも飲めば縮むんじゃないか?」

「…紅茶…。」

この体制だと、どうしようもなかった。

「まぁ、一人じゃどうしようも出来なさそうだな。そのクッキーとやらはどこで食べたんだ?」

「この…今顔のある部屋。」

そうか、と言うと、男は持っていたはしごを使い二階の窓まで登って来た。自分の顔のすぐ近くに…そう思うと非常に恥ずかしい。

「ちょっと失礼するよ。」

そう言うと男は部屋の中に入り、隅に追いやられたテーブルに近付いた。

「へぇ、このクッキーがねぇ。」

例のクッキーを手に取り、まじまじと見つめてるようだ。

「ちょっと、食べる前に私をなんとかして!こんな状態で二人とも大きくなったら…。」

家が粉々に破壊され、そこにたたずむ怪獣のような二人が思い浮かんだ。

「ははは、こんなやっかいなことになるクッキー、俺は遠慮しとくよ。それよりも、ちゃんと紅茶もあるぞ。」

そう言うと、ティーポットに入ってた紅茶をカップに移し、私の口元に持ってきてくれた。