「あのー、すみません。」

男はキョロキョロとあたりを見回したあと、声が聞こえた私のところへとやってきた。

「俺を呼んだのはどちらさん?」

そう言いながら、玄関から飛び出した私の脚を見ながら不思議そうにつついている。

「えーと、私、二階から顔を出してる者なんですけど…。」

窓から出せるほど顔が小さくない私だったが、今だけでもなるべく自然に話していこうと、あえてそう言ってみた。

「二階…?」

そう言って男は後退り、二階の窓を見た。その後は予想通りの反応だ。

「ば、化け物ー!!!」

「ちょ、ちょっと待って!私はただの女の子!」

目の前に自分の何十倍かの大きさの生き物がいたとして、ただの女の子と言ったところで私だって信用できない。
しかし、予想に反してその言葉を信じてくれたようだった。

「女の子…?へぇ。巨人族とかそんな感じかい?どうやってその家の中に?」

「違うの!元はこんなに大きくなかったの!あなたと同じような大きさだったのに、クッキー食べたらこんなことになっちゃって…。」

「へぇー、そのクッキー食ったら俺も大きくなれるかねぇ。なんか正義のヒーローみたいでかっこいいな。」

「そんなこと言ってないで、なんとかしてよぉ~。」

「なんとかって言われてもなぁ…家に火ぃ着けるわけにもいかないだろうし…。」