双子から逃げてしばらく歩くと、家が点在している住宅地のような場所に出た。外国にありそうな家が並んでおり、そのひとつひとつに柵や庭が備わっている。ただ、留守にしているのか、人の気配はあまり感じられない。

その可愛らしい家に目移りしながら歩いてると、ひとつの家に目が止まった。表札に白山と書いてある。そう、うみの苗字が白山なのだ。もしかしたらこの家にうみがいるかもしれない。
本来は見知らぬ家に勝手に入るなど以ての外だが、今となってはどうでもいいため、呼び鈴も押さずに乗り込んだ。

外見だけでなく、家の中身も可愛らしい内装となっていた。広間やリビング、キッチンや2階の寝室など見てまわるが人の気配はない。どうやら留守にしてるらしい。
まぁ、ここがうみの家だとしたら、うみは急いでどこかへ向かっていたのだから家にいるわけがない。

勝手にリビングのイスに腰掛け、ほんとにうみと会えば帰る方法が見つかるのかな…と考えながら、無意識にテーブルの上のクッキーを食べた。

昔、こんな家に住んでみたいとか空想していたな、そんなことを考えてるときだった。視界が高くなっていく。また、あの時のように体が大きく膨らんできたのだ。