私の手からスルリと包丁が抜かれ、大きな手に包み込まれた。


「亜実…チューしていい?」

チュ、…チュー!?

「な、何言ってんのバカ!」



グイッ

振り向かされて彼と向かい合う体勢になった。



真剣な目で見つめてくる天宮健人。


し、心臓が痛い…


「亜実…」


キャ━━━━!!!


だんだんと顔が近づいてあと数センチ……





ガチャ


「…───ぁ、」


リビングのドアが開いた。

「…悟…くん?」


先に口を開いたのは私だった。

「おぅ。兄貴おかえり。」