「せっかく捕まえたのにぃ」


そう呟きながら、ようやくお母さんは奴を連れて外へ行った。


「はぁぁ。普通に起こしてほしい…」


静かになった部屋で一人呟き、ベットから降りる。


冷静になってみると、太郎が騒いでいるのがわかった。


それを聞いて慌てて太郎の元へ向かう。


小屋の扉を開けると、勢いよく出る太郎。


ワンッワンッ


遅い!とでも言うように吠えてから走り去っていく。


太郎がトイレへ行ったのを見届けて、ポケットから携帯を取り出す。


彼に電話しようと番号を出したが、まだ寝てると思いメール画面に切り替える。


(おはよぉ!起きたら電話して。)


それだけ打って送信ボタンを押した。


すぐには連絡してこないと思い、携帯をしまって太郎が戻ってくるのを待つ。