―…
「今宵は実に月が美しい。」
人里離れた山の奥深く
深い霧に包まれた
恐ろしく美しい城の中で
その主が呟いた。
「実に美しい。…腹立たしい程にな。」
三日月は雲に隠れゆく。
まるで真実を隠すように…
―…くる。
「ギッシュ。起きて。」
「んぅー。何だよ…」
私はボーガンを手に取る。
ギッシュも目をこすりながら、愛剣を手にした。
ふと、月を見た。
雲に隠れゆく。
一羽の鷹が飛んでいく。
とうとう。
とうとう、始まるのだ。
何度もイメージしてきた。
ただ、それを実行に移すだけ。
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