明くる朝、レイが鍛錬場へやってくると、いつもは居ないはずの人影を見つけた。

『私より早いなんて珍しいじゃない。どんな風の吹き回し?ギッシュ。』

ギッシュは不機嫌そうにレイを見て、腕を組み直した。

『別に?ガキンチョを待っている訳じゃない。』


―…ヌイを待っているのね。


レイは不器用な彼に苦笑しながらも、隣に立って様子を見守ることにした。

『そうやって待っているなら、迎えに行けばいいのに。』

『馬鹿やろう!これは、あのガキンチョが見込みのある奴か、そうでないかを見極めるための、ちょっとした試練てやつなんだ!迎えに行ったら元も子もないだろ。』

レイにしてみれば訳が分からなかった。
だが男には男なりの事情があるのだろうと、深くは追求しない。

そうして2人は黙ってヌイがやってくるのを待っていた。
それから程なくして、タタタと足音が聞こえてきた。
ギッシュはじっと入り口を見つめる。

息を切らして入ってきたのは、やはりヌイだった。
ギッシュはそれを確認すると、にっと笑って言った。

『おせーぞ!早く剣を持て!』