ゴツン
ゴツン
ゴツン
悪ガキにギッシュの鉄拳が落ちた。
『おい、お前ら!男なら弱いものイジメなんてするんじゃねー!正々堂々戦え!』
ギッシュの形相に驚いた悪ガキ達は、ワラワラと逃げていく。
ふぅと息をついて、ギッシュはヌイに向き直った。
ヌイはビクッとして、ギッシュを見ようともしない。
『…今のお前は殴る価値もない。俺は男と認めた奴しか殴らないんだよ。いつまでも逃げるな!戦え!男だろ!』
ギッシュはそう言って、悪ガキの落としていった石を拾い、ヌイに手渡す。
『やる気がないガキを教えるほど、俺は暇ぢゃねーんだ。今日はもうやる気が失せた。かーちゃんがルブラから帰るまで…やる気が無いならここへ来るな。ここは半端な奴が入って良い場所じゃない。』
ギッシュはそう言い捨てると、ヌイを置いて去っていく。
暖かい風がヌイを包み込むように吹いていく。
『ぼくだって…』
呟いたヌイの声は誰にも届かぬままかき消された。