いつの間にか、月を隠していた雲が流れていた。
ルブラの外れにある小さな沼へやってきて、縁に腰をすえる。
沼独特の匂いが私の鼻孔をかすめては、消えていった。



本当に
これで良かったのだろうか
このままで良いのだろうか



―…ピゥイー!

甲高い鳥の鳴き声。

鷹が私の頭上を旋回する。


一回…
二回…
三回。

そして近くの木にとまって、こちらを見ている。



ピュー…

私が口笛で合図すると、途端に飛び立っていく。



…また
また一つ罪を重ねてしまった。

このままで良いの?

良いに決まってる。

本当に?

…だってこうするしか方法は無いんだから!!



もう旅は始まってしまったのだから。




starter〜旅立つ者・完