──ガバッ

夢?

いつものクリーム色の自分の部屋

私の身体の鎖は解かれている。

どういう事?

「陽菜さんは凄い人ね?」

突然振ってきた声に振り返ると──

「美…郷?」

また、悪夢が始まるの?

「怖がらないで。
 私は貴女の知っている美郷よ?」

何処までを信じていいのか解らず、只々後退りをする。

「ごめんね。
 嫌な想いをさせちゃって」

「………」

「陽菜さんはね、貴女の代わりに契約を交わしたわ」

どうして?
そんな事したら死んじゃうのに……

「彼女はね、貴女が最後の契約を交わされる直前に大使様の所に自ら飛び込んだの」

そんなデタラメ……信じない!!

「彼女の気持ちわかってあげてよ?
 私たちもまたやり直そ?」

「美郷、貴女を信じるにはもう少し、時間……くれないかな?」

「うん。
 千郷、待っているから」

彼女は女性らしい涙を浮かべて、この家から去って行った。

久々に見た彼女の涙。

そして、彼女は再びこの家に来る事があるのかは、謎のまま。

 陽菜、私は……