じぃちゃんと共に過ごした部屋。


そこにじぃちゃんはもう居ない。



その変わり、見知らぬ女が高熱を出して寝込んでいる。



古アパート独特の匂い。

それはまんま、じぃちゃんの匂い。




それが消されてく。
彼女の放つ甘い香りで、消されてく。


まるでじぃちゃんが生きていた痕跡が、消されてくみたいだった。



けど、それを今の俺にどうにか出来るわけもなく。


気付かないフリをして

一心不乱に彼女の看病を続けた。