おとうさんは「そうか・・・」といったまま黙っていた。

「おはよぅ」

そう言ってお兄ちゃんが大きい荷物を持って、階段を下りてきた。
「俺は、お父さんのところについて行くから・・・」
そう告げた。

それから、お兄ちゃんとお母さんは最後の別れをした。


「俺たちは、駅前のマンションを借りたから・・・荷物は、明日にも業者が取りに来るから・・・」
そう言ってお父さんが立ち上がった。

お兄ちゃんも後をついて玄関に向かった。

この時が来た・・・

あたしは心でそう思った。


「じゃぁ・・・」

そう言って玄関を出ていく2人をおかあさんは涙をこぼしながら見送った。
「ガチャ・・・」

ドアが閉まってから、お母さんは泣き崩れた。