少しの沈黙の後お父さんがまた話し始めた。

「オマエらには仲良く見えてた両親だったかもしれない・・・オマエらが生まれたときは本当に幸せな家庭だったけど、オマエらが成長して行くに連れて俺と母さんの考えにあわないものがでてきて、少しずつ溝が広がっていったんだ・・・だからもう、家族ってわけにはいかないんだ・・・」

そう言ってお父さんはカバンから、１枚の紙とはんこを出した。

その紙はまぎれもなく、離婚届だった。

静かにお母さんはぞの紙にサインをして、引き出しから出したはんこを押した。
その光景を、あたしとお兄ちゃんは黙ってみていた。

「彩と隆太には、寂しい思いをさせることになってゴメンね」
そう言いながらお母さんは顔を手で覆った。

そしてお父さんが表情１つ変えずまた口を開く。

「俺なりにも、隆太と彩。そして、美佐子の事を思ってがんばってきたけど、もうダメなんだ・・・」

「何がなの？？」

あたしは、そのお父さんの言葉を聞いて怒りが爆発した。