授業が終わり憂鬱な部活の時間がやってきた。

両親のことがあってから、ボールの箱ひっくり返したり、ライン引きの粉ひっくり返したり、部室のかぎを忘れたり、みんなに迷惑ばっかりかけている。

「橘~ボール持ってきてくれる?」
バッティング練習をしていた清水くんにそう言われて、あたしはボールの入ったかごを持って歩き出した。

『離婚』あたしの頭の中にこの言葉が何回も浮かんでくる。

消えろ!消えろ!そう思っていたとき、転がっていたバットに足を引っかけて手に持っていたボールのかごがひっくり返った。

またやっちゃった・・・

それを見ていた健がこっちに来て、あたしの手をつかんで水道のところまでひっぱてきた。

「何?離してよ!」

「何じゃねぇだろ?」