「ガッシャーン」
リビングでお皿の割れるような音がした。その音を聞いてあたしは立ち上がった。

「行くな、彩」

「何で??」
呼び止めたお兄ちゃんの手を振り払って、階段を下りていった。

階段を下りてると、お父さんが外にでていく姿が見えた。

リビングにはいると、目を真っ赤に腫らしたお母さんが割れたお皿の破片を拾っていた。

あたしは黙ってお母さんのそばに行き、破片を拾い始めた。

「彩??」
お母さんが目をこすりながらそう言う。

「お母さんのことはもう良いから、彩は早く寝なさい」
あたしは黙ったまま破片を拾い続けた。