学生、OL,会社員。

いろんな人が降りてくる中に、あたしのお父さんの顔があった。

「お父さん!」
と、手を振ろうとした瞬間あたしの目には信じがたい光景が映った。


ごった返す人の中であたしは確かに見た。

お父さんの後ろに、女の人がいる。

お父さんと手をつないでいる。

あたしは一瞬自分の目を疑った。しかし、まぎれもなくそれはお父さんだった・・・

振ろうとした手を上げたままあたしは固まった。

「どうした?」
そう言っている健二の声も耳に入らないようだった。