『マジで超美味いじゃん♪』



あたしの目の前には、



笑顔でクッキーを美味しそうに食べてくれるりゅう。



そして、りゅうの隣には嶺雅が一緒にいる。



今日の朝、慌しく仕事に出る時、



「今日はバレンタインだから意地でも早く帰って来るからっ」と、



言い残していったりゅう。



そして、その宣言通り、



今日は久しぶりにこんな早い時間に家族が揃った。



こうしてりゅうと嶺雅の二人が並んでいると、



顔立ち、雰囲気がよく似ているのが分かる。



嶺雅は今日女の子からもらった沢山のチョコレートを、



恥ずかしそうにしながらも見せてくれた。



はっきりは言わないけど、どうやらその中に気になる女の子がいるみたい。



嶺雅は、これからどんどん、こうして「親離れ」していくんだよね。



そう思うと、なんだかちょっと寂しい気もするけど、



子供の成長は何よりも嬉しいものだとも思う。



『レイナ、このクッキー最高だな~!』



そして、りゅうがこうして喜んでくれることが、



あたしにとって、最高の幸せなんだと改めて実感するんだ。