あの頃、エイトは「絵莉ちゃん」っていう彼女とずっと付き合っていた。



何度か家にも連れて来て、あたしも会ったことがあった。



その子の前だと、珍しくエイトがリラックスしていたのを覚えてる。



猛勉強をして、無事に希望通りに、



あたしの通っていた高校に合格したエイト。



学校の先生はもちろん、パパもママも、誰もがその合格に驚いた。



でも絵莉ちゃんは違った。



「俺……合格するか…すげぇ心配に思う時があるよ」



「エイトは受かるよ!!大丈夫!!」



彼女はいつもそう言ってエイトを励まし、勇気付けていた。



もしかしたら、そんな絵莉ちゃんの言葉がなければ、



「合格」という文字は目に出来なかったかもしれない。



そして、別々の高校へと進むことになった二人。



それでも絵莉ちゃんは、エイトをずっと好きだったんだと思う。



「悪りぃな…部活忙しいから無理だわっ…」



「疲れてるから会えねぇよ」



高校に入ってから、ますますサッカーに没頭していったエイト。