だから、あたしは
高校入学の時に
素顔を隠した…。


つまり、この事は
絶対、誰にも言えない
あたしの秘密。



その時、襖(ふすま)の
向こうから
慈郎が話しかけた。



「お嬢、車の準備が
整いました。」


「すぐ行く。」


身形を整え襖を
開けると慈郎は出て来た
あたしを見て柔らかく
ニッコリと笑った。



「お嬢、お綺麗で
ございます。」