必要ないものは捨てた。 本当は、家族だって捨てたい。 自分には必要ない。 「涙?」 櫂兄の言葉が、胸に突き刺さる。 ハッと我に帰って、気がついたときには登校中だった。 忘れてた。 櫂兄は引っ越して来たから、学校は一緒だったんだ。 「……緊張するなあ」 隣を歩く櫂兄は、口々にそう言った。 ──・・・緊張? そんなもんか?