「……君を残してしまったこと」 少年は申し訳なさそうに、目を逸らした。 「…突き放してしまったこと」 そよそよと、草原が揺れる。 「…君を、離してしまったこと」 ──・・・思い出せない。 「…お母さんは、確かに君を愛してた」 「誰よりも、君を心配してた」 どうしてお母さんを知ってる? どうしてお母さんの話? 「……涙、ごめんな」 少年は確かに、 自分の名前を呼んだ。