はっきりしない意識の中、櫂兄の顔はちゃんと見れた。




そして生きてるって実感する。
左手に、淡い温もり。






それが櫂兄だと確認する。


──・・・やっと終わったんだ。
また普通の生活に戻れる。








「………涙」


櫂兄は再び名前を呼ぶ。
そして優しく微笑んだ。






「……頑張ったね」




そう言ってギュッてしてくれた。