その笑顔に少し安心した。
さっきまですごく不安で、すごく怖くてしょうがなくて。
「涙、リンゴ持ってきたけど食べる?」
櫂兄が持っていた袋の中にはリンゴが二つ。
キレイに赤くて、つやつやしていた。
思わずコクリと頷いたら、櫂兄は嬉しそうに笑う。
「よしっ!!なら皮剥きするっ!!」
そう言ってフルーツナイフを取り出して器用に剥き始めた。
──・・・そういえば、
さっきから耳元でピッ、ピッといっているのはなんだ?
櫂兄の話を聞いているときにも耳障りだった。
パッと音のする方へ視線を変えた。
そこには多くの線があって、数字が大きく書いてある。
脈拍、血圧…………
自分はもう確信していたのかもしれない。
自分が検査入院している意味も、
ここにこんなものが置いてある意味も。
まだ昼なのに、櫂兄は学校のはずなのに、病院に来ている意味も、
──・・・ぜんぶ。