らしくない。 らしくないけど。 本当は自分でも、“自分”がわからないから。 どの顔が、本当の自分なんだ? 自分は一体なんなんだ? 「……ありがとう」 再び櫂兄にそう言えば、そんな考えも吹っ飛んで、どーでもよくなって。 「うん」 ──・・・もっと、 強くなりたい。 何故か、そう思ったんだ。