────── 「涙、ご飯だよー」 夜、櫂兄の声が響いた。 ──・・・ご飯。 「涙?るーいー?」 「…………」 今回ばかりは仕方ないと思って、しぶしぶリビングへ向かった。 「涙ちゃん、おかえりなさい」 「…ただいま」 『お父さん』に言われて、軽くビビる。 自分の席には、今日初めて座る。 ちゃんと箸が置かれていて、でも何故か憂鬱な気分に駆られる。 「涙、顔色悪くね?」 「…別に」 本当、自分に腹が立つ。