そう言った和良の言葉で,会話は途絶えた。 数分後。 唐突に十座が口を開いた。 「すげぇけど,なんか悔しい。今まで,俺の球たった一球で捕った奴なんて,いなかったから。少年野球ん時も。中学ん時も。…南さんも」 本当に悔しいというような表情ではない。 どこか嬉しそうで,誇らしげだった。 そんな十座の姿を見て,和良が頬を桜色に染める。