「黄征。頼むぞ」 練習終了後。 聖名が話しかけてきた。 十座は,何のことだかさっぱりわからなかった。 主将は,天寺の肩を軽く叩き,背を向けたまま手を振り,暗い道を帰っていった。 「はい」 「…?」 天寺は主将の言葉を重く,深く受け止め,主将に向けて。 十座に向けて。 そして,自分に向けて。 返事をした。 「帰ろう」 「ああ!」 微笑み,二人は帰って行った。