その日は投球練習が組まれていたため,十座はひとり,ネットに向かいボールを放る。 「ふぅ」 球数が100球を越えて,やっと疲れを見せ始めた。 「ーっ」 悔しい。 悔しい。 なんであんなことを言われなくてはいけないのだ。 それに,あいつに言われたことに腹が立つ。 「くそっ」 放った球を見つめ,呟いてみる。 呟くというよりは,当てつけに近い。