「野球はひとりじゃできないぞ」 「…!」 「って,監督に言われたか」 (なんで,なんであんたかそれを言うんだよ!) 心の内で,十座は叫んだ。 「練習に戻るぞ」 「ーっ」 (自分だって,ばんばん三振奪って‘ひとり’で野球やってるくせに) そう,叫びたいのを堪え,両方の拳を握り締める。